Denim.websiteは、ジーンズの色落ちの楽しみ方をお伝えしたくて立ち上げたサイトです。
デニム生地は、穿いて洗うを繰り返せば色落ちしていきます。そして穿き続ければいつかは破れてしまう。
これは避けられないことです。であればその変化を楽しみたい。
「色落ち」と一言で言っても本当に多種多様。
ではいい色落ちとはなんでしょうか?どのように楽しめば良いのでしょうか?
「あなたの気に入る色落ちが、いい色落ち。」
それがこのサイトの考えです。
穿くのは他の誰でもない自分自身。
お気に入りの愛着あるジーンズを穿けば気分も上がります。
そのジーンズとともに訪れた場所、イベント、全てが思い出になります。
でもそう言われても、具体的な楽しみ方がわからない。。。
ということで、デニムの色落ちについて少し深掘りしていきます。
デニムの色落ちの仕組み
デニム生地は染色された縦糸と染色されていない横糸で構成されています。
芯までは染まっていない縦糸からインディゴが剥がれることにより、白い部分が現れる。これによって色落ちにメリハリが出ます。
ひたすら洗濯を繰り返せば、全体的に均等に色が落ちていく。洗濯回数を抑えれば、よく擦れる部分から色が落ち、濃淡のある色落ちになっていくという仕組みです。
芯までしっかり染められた生地では、メリハリある色落ちにはなりません。どのような色落ちのジーンズにしたいかによって買うべきジーンズが異なります。
ヴィンテージジーンズ
ジーンズの色落ちを語る上で避けて通れないのがヴィンテージ。
ヴィンテージジーンズの定義を調べても曖昧で、広く見れば1920年代から70年代までとしているケースもあります。ただ、年代によって使われるパーツやディテールは異なり、どれがいいという正解はないように思います。
1940年から50年代までのクオリティが最もいいという意見もあったり、66モデルのシルエットがいいという意見もあるし、大戦モデルはまた違ったディテールを持ちます。
旧式の力織機で織られた生地には凸凹感、ムラがあり、それが縦落ちと呼ばれるデニム生地の色落ちを生み出します。セルビッチデニムの赤耳は旧式力織機で織られた目印。
古き良き時代のいいモノ、それは1980年頃の大量生産の流れで失われてしまいました。
均質に織られた生地ではそのような色落ちになりません。技術の進歩により品質の整った製品をつくれるようになったがゆえに、デニムの魅力が失われてしまうという結果になってしまったのです。
魅力あふれる古きよき時代のジーンズを再現すべく、日本のジーンズメーカーはヴィンテージジーンズを研究し、当時のものに負けないクオリティのものを作りました。
レプリカジーンズ
1990年代、2000年代にはレプリカジーンズブームが発生。
レプリカ「複製」から始まったかもしれないデニムづくりは、当時のヴィンテージすら超える勢い。レプリカジーンズブームが去っても、今も日本の誇るハイクオリティのデニムは世界で人気があるそうです。
ヴィンテージジーンズは今は大変レアで高額。なかなか手に入りません。
ところが、我らが誇る日本のデニムメーカーが徹底的にクオリティにこだわったジーンズは2-3万円程度で手に入ります。
丁寧に穿いていけば何年も愛用できる逸品。
「XXを超えている」そう自負しているデニムブランドもあります。
デニム生地だけではなく、縫製糸からパッチからボタンなどのパーツまで、徹底的にこだわっています。長く穿き続けることにより、全体的に雰囲気が良くなっていく。
各社の考える最高のデニムから自分が欲しいと思うモノを選んで穿き続け、何年か経つと自分だけの色落ちになる。
世界に一本だけのジーンズが出来上がる。
これが最高の、いい色落ちのジーンズと考えます。
もちろんヴィンテージが手に入るなら、それが最高のジーンズになるかもしれません。
でも穿かないと色は落ちない。大切なのは、大事に穿き続けることだと考えています。
ポイント
ジーンズの色落ちの見どころはたくさんありますが、外から見て分かるものをいくつか挙げたいと思います。
縦落ち
顕著な縦落ちを見せるデニムでは、この写真のように白い線がサーっと無数に現れます。これが迫力と立体感を生み出します。
このような色落ちをするかは生地によるため、好みの色落ちになるかはジーンズ選びが重要です。
あまりわざとらしい縦落ちではなく、自然な縦落ちが好みの方もいると思います。購入前にその生地の色落ちサンプルがあればチェックしておきましょう。
ヒゲ
腰回りに横に伸びる色落ちはヒゲと呼ばれます。
腰回りがタイトなサイジングだと入りやすく、色落ちの見どころの一つ。
耳のアタリ
ミミの位置に沿ってキャタピラが通ったあとのようなアタリが付きます。
他にも見どころはたくさんあるものの、正面からみて分かるものを挙げました。これらはジーンズの表情を豊かにしてくれる要素。
迫力ある、雰囲気ある色落ちはディテールの積み重ねで成立しています。
色落ちに対する好み
さまざまなデニムブランドがある中で、デニム生地の特徴も色々。よく観察すると生地の色の落ち方に違いがあります。
それは各社の考える最高の色落ちへの解釈が違うから。
また、同じブランドでも複数生地を用意しているところも。
だからデニムを選ぶ楽しみがあります。
ヴィンテージジーンズと見違えるような色落ちが一番という人。
荒々しい色落ちが好きな人もいれば、さらっと爽やかな色落ちが好きな人もいると思います。
ウェブ上には多くの色落ちサンプルがあり、バキバキに色落ちしたジーンズに目移りすることもあるかもしれません。
でもそれが自分に似合うとは限らない。
ジーンズは洋服。着るもの。
穿いたときに輝くのが一番だと思います。
穿くのは自分自身。そのジーンズを穿いて自分が輝くかどうか、そこが大事ではないでしょうか?
各ブランドの色落ちサンプルはウェブで検索すれば見つけられると思います。いいなと思えるジーンズ、かっこいいと感じるジーンズを選びましょう。
ジーンズを育てるということ
さて、同じジーンズでも、穿き方次第で違った色落ちを見せます。
タイトなシルエットではけばシワのつき方も異なります。
選択頻度を落とせば、メリハリのついた色落ちになります。
この辺りは好み。
自分の好みをよく考え、穿き方を調整しましょう。
穿き込むことにより、ジーンズは表情豊かになっていきます。「育てる」という言葉を使う洋服はなかなかないのではないでしょうか。
細かいことは考えたくない、という方は、自由に穿くにかぎります。その結果の色落ちを楽しむのも間違いではありません。
繰り返しになりますが、誰がなんと言おうと、本人が楽しめればそれでいい。そう考えます。
メリハリのついた色落ちが全てではありません。
おわりに
思った通りの色落ちにならないことはたくさんあります。
でもそれはそのデニムの個性と、穿いた人の生活の結果。それも受け入れましょう。
ダメージが発生してしまうこともあります。丁寧に修理すればもう少し穿けるはず。そうやって時をともに刻みます。
気づけば愛着もわいてくるというものです。長い時間を共に過ごした相棒ですので。